はじめに
前の土曜、梅雨のなか休みで晴れていたので、少し散策をしてみようと思い立ち、あれこれ考え散策先に選んだのが、上毛電鉄(じょうもうでんてつ)・大胡(おおご)駅の周辺だった。
(2025/7/4 更新)
【目次】
大胡駅を選んだ理由
- アニメ「前橋ウィッチーズ」の主人公・赤城ユイナが通学に使っている最寄り駅という設定だったこと。(ある意味、聖地巡礼。)
- 上毛電鉄にまだ乗ったことがなかったことと、車両基地があると知ったこと。もっとも、鉄オタ(鉄道オタク)という訳ではないが。
- 大胡城跡という城跡に関する情報を得たこと。
電車を乗り継いで大胡駅へ
基本ルートについて
東京・高崎方面から大胡(おおご)駅へは、JR両毛(りょうもう)線で前橋駅まで移動して、途中、バスか徒歩を挟んで、上毛電鉄(上毛電気鉄道)で中央前橋駅から大胡駅に向かうことになる。
JR両毛線・高崎駅 ↓ 所要時間約15分/大人片道200円 JR両毛線・前橋駅 ↓ バスまたは徒歩 ※後述 上毛電鉄・前橋中央駅 ↓ 所要時間約18分/大人片道450円(!) 上毛電鉄・大胡駅
なお、JR両毛線・前橋駅と上毛電鉄・中央前橋駅は直接接続しておらず、片道180円を払ってシャトルバスを利用するか、徒歩25分ほどかけて歩く事になる。
ちなみに私は、これまでこの区間のバスに乗ったことがないので、詳細は正直言って不明。申し訳ない。
上毛電鉄について
上毛(じょうもう)電鉄、正式名称は「上毛電気鉄道株式会社」であり、群馬県の前橋~桐生を結ぶ地方路線である。
JRと違っていくつか注意点や特徴があるので、個別に解説する。結構長めになるのでご容赦を。
現金しか使えない
首都圏や大都市から観光に訪れる方に残念なお知らせだが、上毛電鉄の支払いは現金のみ。Suica・Pasmoを含め電子マネーは一切使えない。事前に千円札や小銭を多めに用意することをお勧めする。
運賃が高い
JRと比べて運賃が高い。中央前橋駅から大胡(おおご)駅まで、2025年6月時点の片道運賃は450円となり、往復では900円にもなる。
但し、地方路線にしては昼間も運行本数が多めで、1時間に2本(30分に1本)電車が走っている。
参考までに、同じ群馬で高崎~横川間を走るJR信越本線や、上毛電鉄と同じ地方路線の上信電鉄は、運行本数が少ない時間帯だと1時間に1本だけとなる。
話を上毛電鉄に戻し、一応、1日フリーパス券もあるのだが、大人ひとり1,300円(2025年6月時点)で、沿線は主に住宅地と畑だけなので、さほど乗り降りする場所もないと思う。
【2025/7/3 追記】「上毛電気鉄道×前橋ウイッチ-ズ」赤城南麓1日フリ-切符の発売について
2025年7月7日(月)から1000枚限定で、「上毛電気鉄道×前橋ウイッチ-ズ」コラボ企画(と実証実験)に対応した、専用デザインの1日フリー切符が発売されるとのこと。
料金は通常のフリーきっぶと同じ1,300円で、大人のみとのこと。
参考URL> https://jomorailway.com/akagifree_ticket.html#akagi03
ただ、各キャラの名字の元になった無人駅があるという点以外に、駅の近所に観光地があるわけではないし、コンビニや売店なども基本ないので、途中下車する場合は要注意。
まあ次の電車が来るまで30分待つ手もあるが、時期的に水分補給と日傘を忘れずに。
無人駅がほとんど
中央前橋駅と大胡駅はどちらも有人駅のため、両駅の往復だけであれば気にしなくて良いが、途中で乗り降りする際は要注意。
無人駅の場合は、乗車時に車内ドアそばにある発券機から乗車券を受け取り、降車時に先頭車両で乗務員に乗車券を見せてから、乗車券と運賃を運賃箱に入れる必要がある。
昔懐かし切符切り
中央前橋駅と大胡駅については、どちらも有人駅なので、自動券売機で切符を買って、改札口で昔懐かし改札鋏(かいさつばさみ)で切り込みを入れてもらって、降車駅で切符を改札員に渡すシステムとなる。
少なくとも私が子供だった1970~80年代頃までは、改札口で駅員に切符を切ってもらったり、回収したりするシステムだったが、切符の裏面が磁気シートになって機械化が進み、今やICカードやスマホのタッチ決済に留まらず、外国人観光客向けにクレジットカードを改札機にタッチして電車に乗る時代なので、時の流れと言うのは恐ろしい。
上毛電鉄・大胡駅
上毛電鉄・大胡(おおご)駅について、車両基地があるためか、上毛電鉄では珍しい有人駅となる。道中ずっと無人駅だったのに、この駅だけ駅員が居て働いているので、少し安心するというか、ちょっとした異世界感を味わえる。
駅周辺について
駅周辺にコンビニはなく、駅前の小さな公園に公衆トイレはあるものの、公園自体があまり整備されていないため、若干の廃墟感はある。作られた時期は存じ上げないが、バブル景気の頃であろうか。
ちなみに風車の右にある小洒落たレンガ積みの建物が、警察官立ち寄り所も併設された公衆トイレ。但し個室はぱっと見、和式だった。
なお、アニメOPに出てくる風車は、この駅前にある風車ではなく、道の駅 ぐりーんふらわー牧場・大胡にある風車であり、大胡駅からは直線距離で5km以上離れている。念のため。
駅周辺についてもう1枚。
アニメ10話でユイナの自宅を出て、駅に向かうシーンで使われていた坂。現実では駅から車両基地に向かう道となる。構図が悪く申し訳ないが、左端に作中にもあった「対向車に注意」の看板がある。
あと、写真を見返して気付いたが、土手の部分に駅と電車の模型がある。近くに保育所があるので、園児たちへのサービスと思われる。
ちなみにユイナを上から写したカットでは、ガードレールの向こう側に川のようなものが写っているが、実際は写真の通り、土手である。
別に、現実とアニメに差異があるから悪いとか言ってる訳ではなく、トトロなどを見て大いなる幻想を抱くファンもいるかもしれないが、あくまでもアニメはフィクションだということで。
街中散歩
駅から本通りと思われる道に出て、ひたすら歩く。
昔は通りを挟んで両側で商店が栄えていたのだろうが、誰もが車を持つ社会になり、生活様式も変化し、店主も高齢化した結果、店舗が閉店して、ただの通過地点となっているのは、群馬に限らず地方都市共通か。
その後も黙々と県道40号と県道16号を北上して、大胡城跡方面へ。途中、クランク状に曲がる箇所あり。
途中の交差点に、ぐんまフラワーパークの案内看板があるが、記事執筆時点で2025年秋まで臨時休業中。
アニメでは、作中あらゆるところで花が用いられているが、もしかしたら、このフラワーパークがデザインのアイデア元なのかもしれない。もっともフラワーパークも駅から直線距離で5km以上あり、徒歩で気軽に行ける場所ではないが。
大胡城跡
少々分かり辛い場所になるが、大胡城跡にはこの横断歩道のある道を、写真奥に向かって進む。荒砥川(あらとがわ)に掛かる橋が目印。
途中、城跡整備に伴い作られたと思われるトンネルの中を進む。薄暗く明かりもないので、女性一人では勇気がいると思う。
寄り道も含めて、駅から徒歩20分程度で大胡城跡(おおごじょうあと)に到着する。
整備度合いは低め
私が現地に行った2025年6月末時点になるが、草の刈り取りが行われておらず、膝(ひざ)の高さまで草が覆い茂っていた。
草むらの中を突っ切る事も考えたが、ヘビやマダニなどが居ると面倒なので、早々に諦めた。地元の方々ならともかく、初めて来る者には、どんな生物がいるのか判断できないし、草に隠れた危険な箇所も分からないので。
ただの思い付きだが、ヤギやヒツジといった大人しい草食動物でも放し飼いにすれば、いい塩梅に草の成長が抑えられるのでは?と思わなくもない。
もっとも放牧の場合、動物たちの落し物(フン)が発生するし、家畜の持ち込みは、時に生態系の破壊も引き起こすので、現実的でないかもしれないが。
ところで上の写真に写る広場、もしかすると1話にて、ユイナの机に飾ってある、祖父と幼いユイナの2ショット写真の場所では?と思っているのだが、いかんせん草に阻まれて先に進めず未確認。ただ、既に誰かが解明しているかもしれない。他のシーンもそうだが。
祖父の話が出たついでに、ユイナはおじいさんの形見と察するカメラを、チェキと一緒に部屋に飾っているが、調べてみると、Leica(ライカ) M3だった。ちなみに話数やカットによってレンズが付いていたり付いていなかったりするのは、ご愛敬。
公衆トイレがない
城跡としては保存されているものの、実は敷地内に公衆トイレはない。そして水場もない。少し離れた場所に役所があるものの、当然休日は使えない。
寄り道しつつ駅に戻る
とりあえず目的は果たしたというか、他にすることも出来る事もないので、行きとは違うルートを寄り道しつつ、駅に戻ることにした。
そういえば、アニメ1話に出てくる桜並木を見かけなかった。私が見つけたのは、とりあえず民家の前にあった桜の木くらい。
実を言うと、アニメに登場する各種シーンは、先に挙げた坂道も含めて、場所が連続していないというか、つぎはぎだらけの構造となっている。
作中でユイナが電車と並行して走っているシーンもしかりで、地図を見てもらえれば分かるが、実際には上毛電鉄の線路と橋は並行しておらず、大胡駅の東側でX字型に交差している。(下の画像、赤枠内。)
出典:国土地理院ウェブサイト(一部加工あり/2025年7月1日時点)https://maps.gsi.go.jp/#17/36.413668/139.158087/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f2
相変わらず構図が悪くて申し訳ないが、実際の橋が以下の画像。
上毛電鉄構内や前橋市内の店舗に貼ってあるポスターのひとつが、現実の構図に近いと思う。
(2024/7/4 追記:アニメ公式サイトのトップページにも、ループ画像のひとつとして掲載されていた。)
この後、タイミングよく電車に乗ることができ、前橋に戻った。
散策の感想
感想としては、地元の方々には申し訳ないが、大胡駅の車両基地目当てでない限り、観光目的で行く場所ではない。あくまでも地元の方々の生活圏である。
アニメ「前橋ウィッチーズ」の聖地巡礼目線としては、駅周辺で完結するのでコンパクトに回れるが、前橋からの往復運賃900円を天秤にかけると、少々悩みどころか。
聖地巡礼をメインと考えるなら、やはり前橋中心部、広瀬川の遊歩道や前橋市中央児童遊園・るなぱあく、臨江閣あたりが良いかと思う。実際、作中での登場地域としては、前橋中央通り(アーケード)を中心とした範囲がほとんどなので。
おまけ写真
中央前橋駅の看板
上毛電鉄は、条件付きで自転車持ち込み可能
改札そばにあるアニメ登場キャラ・ケロッペ(CV:杉田智和)のPOP
広瀬川をはさんで駅の南側にある汽車型の遊具