M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroを私なりに、ひと言で例えるなら、面長マクロレンズ。もっとも、レンズのどこを指して顔とするかは…いや、無駄な思案はやめよう。いずれにしても、現在発売されているM.ZUIKOレンズ群の中では珍しく、縦長のレンズである。
ちなみに被写体側のレンズは解放絞りF2.8を実現するため直径が大きい。計算上は、焦点距離60mm÷解放F値2.8=レンズ有効径約21mm(小数点四捨五入)となるが、実際に被写体側の開口部サイズを測ったら30mmを超えていたので、鏡筒内部で結像するレンズの有効径が約21mmと思われる。もっとも、カメラ用レンズで有効径は公表されていないし、考察した例もほとんど見かけないが。
ただ、望遠鏡や双眼鏡を使っていた経験から、個人的にはレンズの外観よりレンズ自体の直径というか有効径が気になるタイプなので、その点においては当レンズは良い感じ。それにしても縦長なレンズだと思う。
レンズ有効径ばかり語ってしまったが、焦点距離はマイクロフォーサーズで60mmなので、35mm判換算で120mmと、なかなかの望遠寄り。望遠寄りなのにマクロなんで、頭が少々混乱する。ただ、これは広角から標準域がないことを意味するので、全域で扱えるズームレンズとは違い、あくまでも望遠撮影もできる単焦点マクロレンズと捉えるべきだと思う。
ちなみに、レンズ鏡筒にピント調整範囲を絞り込む回転式のスイッチ(フォーカスリミットスイッチ)があり、等倍撮影用とおぼしき1:1というモードもあるのだが、そこだけなぜかバネで戻るようになっており、意図が不明。こういう作った人にしか理解できない機能は好きではない。
ついでに書くと、撮影距離と倍率を示す表示窓があるのだが、これも鏡筒にあり、撮影時に目視できる位置ではないので、単なるギミックと化している。まあ一応、カメラ本体の液晶モニターを起こせば表示窓は見えるが、見えたところで倍率を考えて撮影するわけではないので、やはり実用性は微妙かと。
全体的にみると、解放F値2.8は魅力的で、35mm判換算120mmの望遠レンズとしても使えるが、30mm/F3.5マクロレンズと比べると鏡筒が長いため、マイクロフォーサーズ機としては持ち運びに若干難ありだと思う。もっともフルサイズ機と比較したら十分軽量コンパクトではあるが。
そして、さすがというべきか、30mmマクロと比べて大きく明るく集光力のあるレンズなので、ピントが合った時の描写力は、当60mmマクロが上だと感じる。画角も30mmマクロの40度に対して、当60mmマクロは20度なので、撮影範囲を絞る分にも良いと思う。
但し、使いこなすにはそれなりに時間と経験値を要するレンズかと。