~歳月人を待たず~

旧ブログ名:歳月不待(さいげつふたい)

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書評:「遊べる、学べる、役立てる 地理院地図の深掘り」

 今尾啓介氏の新著「遊べる、学べる、役立てる 地理院地図の深掘り」について、発売当日に近所の書店で購入したものの、ブログの更新を含め色々抱えていて、なかなか読む時間がなかったが、やっと読破出来た。

 まず、地理院地図をご存じない方に簡単に説明すると、国土地理院がインターネット上に無償で公開している、地理院地図(電子国土WEB)のこと。民間が発行している地図のベースであったり、大型書店などで販売している地形図のデジタル版といったところであろうか。

maps.gsi.go.jp

 Googleマップが、詰まるところ店舗や企業の広告(と、一部の営業妨害レビュー)を目的とした地図だとしたら、地理院地図は多種多様な使い方の出来る地図である。

 ただ、あまりも機能や地図の種類が多すぎて、利用方法がいまいち分かりにくい部分がある。

 そんな地理院地図の使い方や活用方法を、地図研究家の今尾啓介氏が解説した書籍となっている。

 前半・中盤・後半と区切って内容を紹介すると、前半に、地図に関する基礎知識や興味深い話を織り交ぜつつ、地理院地図の基本的な使い方を説明。中盤に距離や面積、高低差の調べ方や、多種多様な地図の紹介に、地理院地図をベースとした資料の作成方法。そして終盤では、地盤や地質による災害リスクなど、防災にまつわる話がメインとなっている。

 全体を通して個人的に良かった点は、102ページから始まる陰影起伏図に関する説明。レイヤーの存在自体は知っていたが、合成やグレースケールの使い方までは理解していなかったので、ある意味一番の収穫だった。また、地理院地図を利用する上での注意点が適宜書かれている点もよかった。

 少々気になった点は、見開きページで図が大きく入ることで、文章が分断される箇所が結構あり、若干読みにくいかなと思った。

 全体を通して見ると、地理院地図の使い方よりも、読み物としての量が多いとは感じるものの、元々がとてつもない情報量を持った地図・地形図で、全ての解説はとうてい無理なので、バランス的にはちょうど良いのかもしれないと、個人的には思う。今尾氏への敬意と感謝も込めて★4つ。


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