リコーのGRシリーズを標準域スナップシューターだとすると、OM デジタルソリューションズの PEN E-P7 +M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 の組み合わせは、さしずめ望遠スナップシューターといったところ、と勝手に思っている。
私はフルサイズフォーマットのカメラを持っていないので、35mm判換算で150mm望遠レンズセットがどれくらいの大きさになるのか分かりかねるが、E-P7とM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の組み合わせだと約670グラムと、未開封の500mlペットボトルよりは重いが、ざっくり1.3倍程度。私のか弱い腕力でも、ハンドストラップ片手で扱える。さすがに撮影時は左手を添えないと手振れするが。
ちなみに私は、ほかにもマイクロフォーサーズ対応の望遠ズームレンズを複数持っているが、レンズ自体重かったり、ズーム域で解放F値が変化するのが苦手で、滅多に使わない。それどころか、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8を買ってからは、ほぼ出番を無くしている。
それくらい、PEN E-P7とM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の組み合わせは好きだ。単焦点なので電源を入れるとズーム関係なしにすぐ使えるし、焦点距離を考えると軽い部類なので、身軽に動き回ることも出来る。しかも解放F値が1.8と明るく、E-P7本体の光学手振れ補正もあるので晴天屋外では三脚の出番もなく、正に望遠スナップシューターといった具合で愛用している。
レンズとしては本当に良いレンズだが、弱点というか、注意点が大きく2点あり、どちらもレンズの大きさと光学性能の良さ故といったところだが、そのひとつがM.ZUIKO単焦点レンズシリーズの中では一番大きくて重い事。もうひとつが価格が高いこと。
レンズが大きくて重い理由は、解放F値を稼ぐためにレンズ有効径が大きくなるため。数式はネット調べで恐縮だが、レンズ有効径=焦点距離÷F値なので、焦点距離75mm÷F値2.8であれば、レンズ有効径は約26.8mmになるが、焦点距離75mm÷F値1.8の場合、レンズ有効径は約41.7mmと大きくなる。つまり焦点距離が同じ場合、解放F値2.8のレンズよりも同1.8のレンズの方が大きなレンズとなる。
私はレンズに関しては、天体望遠鏡で少し学んだ程度で、カメラもさほど詳しくないが、光学機器としての考え方は一緒だと考えており、レンズ有効径が大きいほど光をたくさん集める事ができ、淡い小さな光も捉える事が出来ると理解している。例えるなら、ツバメが小さなクチバシで虫を捉えるのに対して、クジラが大きな口を開けて大量のオキアミを食べているようなものかと。
なお、レンズ鏡筒などに書かれている、丸に斜め線の記号と数字(例:Φ58)は、フィルターサイズであって、レンズの有効径とは別物なので注意。もうひとつついでに書くと、一番被写体に近い側のレンズ(俗にいう前玉)は、実はレンズではなく、ただのガラスという場合もある。私が好んで使うプロテクトフィルターもその例。
少し脱線したが、レンズが大きく光学性能が良ければ、その品質を確保するため、必然的に価格も上がってしまう。ちなみにメーカー希望小売価格は2025年5月時点で、税込10万円ほど(会員割引は除外)と、他の無印M.ZUIKO単焦点レンズの中では一番高い。何なら、今年II型が登場されたM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIがメーカー希望小売価格5万7千円ほどなので、焦点距離の違いはあれ、2倍近い開きがある。
ただやっぱり高いだけあって、PROレンズに匹敵する解像度の良さがある、と素人ながらに感じている。先に上げた飛行機雲の写真なんて、機影も認識できるし、エンジンから雲が湧き出て一旦消えるまでの部分なんて、本当に細部まで表現できているので。同時に、カメラはレンズで変わることを実感した。
ちなみにレンズ名にPROが付いていない理由は、防塵防滴性能がないからだと思われる。もっとも防塵防滴性能の観点で言うとE-P7自体にもないし、そもそも私自身が雨天時にあまり外出しないので、問題なし。逆に言うと、防塵防滴性能を省いたからこそ、肥大化せずコンパクトに収まったのだと思う。
あともうひとつだけ注意点を挙げると、最短撮影距離が0.84m(84cm)なので、被写体との距離が近すぎると撮れないこと。マクロレンズのように接写はできないので、あくまでも望遠で距離を稼ぐ程度になる。
最後に、もし、焦点距離が半分ほどになっても問題ないということであれば、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8が、軽くて価格も安くてお勧め。そちらに関しては別途記事にしたいと思う。
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