9月までのカンカン照りな酷暑とは打って変わり、10月に入ってやっと秋らしく涼しくなってきた。
先週たまたま撮ったが、やはり彼岸花(ひがんばな)が咲くと、季節の移り変わりを実感する。

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ところで彼岸花(ひがんばな)と言うと、ふと思い出す絵本がある。
「花さき山」(斎藤隆介 著/滝平次郎 画/岩崎書店)である。
正確には「花さき山」に登場する花は彼岸花(ひがんばな)ではないが、形がなんとなく似ており、赤色の花だと特にそう感じる。
初版が1969年(昭和44年)ということもあり、内容的には、昭和時代の国語や道徳の教科書に載りそうな、道徳心を煽(あお)るような内容となっている。
実際、同じ原作者コンビの「半日村」は、小学校の時に国語の教科書で読んだ記憶がある。
「花さき山」の特筆すべき点は、切り絵で表現された世界観。とくに黒ベタの背景が圧巻。
現世を白い背景、彼岸の世界を黒い背景で表現しているのだと思うが、黒い背景の中に白い切り抜きがあり、さらに色とりどりの色に溢れ、とても幻想的。
「絵本『花さき山』五十周年 特設サイト」を見つけたので、実際の絵を知りたい方は、リンク先を参照して欲しい。
ちなみに初版発行当時、類がない真っ黒い背景の絵本として、物議を醸(かも)したらしいが、翌年には一般財団法人の児童福祉文化奨励賞・ブックデザイン賞を受賞しており、その後も似たような画風の創作絵本を複数発行している。
「花さき山」については、重版を重ねに重ねて、私が持っている本は、2022年9月30日発行の第152刷である。
考えてみれば初版発行から50年、半世紀を超えており、ロングセラーと言っても良いほどの人気と共に、驚異的な刷数の多さも納得である。
ちなみに私が「花さき山」を知ったのは、実はつい最近。
今年初め頃だったか、群馬県高崎市内の美術館で行われた原画展がきっかけだった。壁いっぱいに描かれた絵本の再現画は圧巻であった。
案の定、展覧会と一緒に物品販売も行われており、本書も日本語版のほか、翻訳版なども販売されていたが、私は現地では買わず、後日、他の絵本と一緒にAmazonで買った次第である。
叶うなら、またあの原画展を見に行きたいと思う。
